2016年10月6日木曜日

石原元知事の豊洲問題協力拒否と懲戒処分

昨夜、石原元知事が全面協力を約束していた豊洲問題にかかる都のヒアリングを突如拒否したことが報道されました。

本日に入り「記憶が曖昧」「体調がすぐれない」等の事情から書面での回答に代えたいとのリリースが本人側からありました。

翻意の背景には、小池知事が "退職した都職員をも対象とした懲戒処分" を表明したことがあると思います。

懲戒処分と聞くと「懲戒免職」のイメージがありますが、既に退職した職員には「免職」はありません。したがって「懲戒戒告」のような形だけの処分にならざるを得ず、また、既に支給した退職金の返還を命じることもできません。

しかし、過去、全国の地方公共団体で空出張や裏金プール問題が露見した際には「協力金」として退職した幹部職員や現役の職員に職制に応じた目安金額を提示して協力金を募った例もありますので、おそらく小池知事は「協力金」名目で損害を負担させようと考えているのだとと思います。 

   ↓最近の一例
不正経理により県に与えた損害額の返還状況について(千葉県)
不正経理により県に与えた損害額については、平成25年4月末現在で、業者プール金が2億1千5百万円、職員等から9億1千1百万円、合計で11億2千6百万円が納入され、弁済すべき額を8千8百万円上回りました。
 
その協力金の金額を退職金相当まで引き上げるつもりなのかもしれません。また、当然、現在の天下りポストの剥奪もあるでしょうから退職者にとって、実質的には厳しいことになる可能性があります。

一方、現役の職員については、問題の発生当時は判断に関わる重要なポストに付いていたとは思えないために、やはり「懲戒戒告」程度で「諭旨免職」にもならないと思います。協力金の額も当時の関与程度から考えれば、それほど大きくなるとは思えませんがある程度(月給程度?)の金銭負担を負うことはあると思います。

石原元知事としては当時の部下を守るためにも、そのような展開は避けたいものと思います。

ただ、もう一点、別の角度から考えると、小池知事の打ち出した "退職した都職員をも対象とした懲戒処分" には石原元知事も念頭に置いている可能性があります。

もちろん、知事は特別職ですので「懲戒処分」の対象にはなりませんが、「協力金」は求めることができます。

裏金問題の際には、元職員も含めて職員はほぼ満額を協力していますので、今回も、そうした措置がとられれば、ほとんどの対象者が協力金を納めることになると思います。そうすると、都職員が協力金を負うのに、元都知事だけが知らぬ振りをすることはできないでしょう。

元都知事に求める協力金の額は、おそらく彼の沽券に関わるほどの巨額が予想され、小池知事の人気や都民の賛同も広がって包囲網はかなり強力になると思われます。

石原元知事にとって、それが億単位だとしても経済的に困るものではないと思いますが、
小池知事への屈服という耐えられないほどの屈辱です。

そのようなことが想定されるため、突如の変節があったのではと推測しています。

しかし、ここまで来た以上、石原元知事は自らが全ての結果責任を負い、私財を投げ打つことが最良の名誉回復のように思います。

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