2016年8月23日火曜日

吉田沙保里選手と福士加代子選手に見る処世観の違い

オリンピック(中継)が終わり、一抹の寂しさを憶えながらもテレビ視聴から解放される安堵感を感じています。

日本選手の戦いぶりに手に汗を握り、勝利の瞬間には日本中が興奮して歓喜の声を上げた17日間でした。

ただ、勝負であるからには勝者と敗者に分かれ、歓喜の一方で落胆が生まれることはやむを得ないことです。

4連覇がかかった吉田沙保里選手とマラソン初挑戦の福士加代子選手を引き合いに出すには背負っているものの大きさや重圧も違っていて酷な気もしますが、敗北を期した際の感情の表し方には大きな違いがありました。

吉田選手は悔し涙を流しながら「申し訳ありません」と何度も何度も繰り返していました。

その気持ちは十分に理解できて、見ているこちらの涙を誘うものがありました。

ただ、表彰台に上ってまで涙ぐむ姿には正直違和感を感じました。

勝負の世界で負けたことは事実であるし、その敗因も相手選手の褒めるべき戦いにあったように思います。

勝負の世界に生きて来た者として、悔しさは胸にしまい込んでほしかった・・・。凋落した王者は見たくなかった。せめて気丈にふるまってほしかったという気持ちです。

さらに、誤解を恐れずに言えば、吉田選手が4連覇をかけた金メダルを獲得できなかったことは残念なことであるけれど、別にそれが吉田選手である必要はどこにもない。

私たちは日本選手が金メダルを取ってくれることを願っている。
吉田選手が銀メダルに終わったとしても『あんなに頑張ったのに4連覇できなくて残念だったね』『お疲れさまでした』『銀メダルでもすごいことだよ』と言葉をかけて上げたい気持ちになるだけで、それほど悔しい気持ちにはならかった思う。

表彰式では、いろんな思いが去来したのだろうけれど、その多くは個人的な喪失感や悲しみであったと思う。

表彰式は表彰式。もう勝負は終わったのだし、敗北は覆しようのない事実だからから、結果を受け入れ、『絶対王者』の風格と威厳を見せ、晴れやかに臨んでほしかったと思いました。

逆に代表選考の過程で、あれほどすったもんだのドタバタ劇を繰り広げ「金メダルだべ」を繰り返し口にした女子マラソンの福士加代子選手は14位と惨敗に終わった後のインタビューで


金メダル取れなかったあ! ほんとしんどかったあ! 暑いけどなんか、しんどすぎて、いろいろなことがしんどすぎて。でも金メダル目指したから最後までがんばれました


と悪びれもせずに話していました。

一言「応援してくださった皆さんには申し訳ありませんでした」と言ってくれれば良かったとは思いましたが、喜びは共有しても悲しみや喪失感、お詫びを口に出して共有することを潔く思っていないのだと思いましたし、それも十分理解できます。本人が一番悔しいことは口に出さなくてもわかるよ。

吉田選手は、真面目で実直な性格ゆえ尾を引いてしまったのだと思いました。亡くなったお父さんのことも思い出していたのでしょう。

日本代表コーチ就任を要請したとの話もありますが、個人的には、知る人ぞ知る聞く人を癒してくれる歌声で本格的に歌の道に進むことも考えてほしいです。 もちろん役続行も本人の考え次第です

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